数値で計ることができない能力

「非認知能力」という言葉を聞いたことはありますか?

読んで字のごとく認知することができない能力のことで、社会性や粘り強さ、調和性などの個人の特性などを含めた、数値では表すことができない能力のことを指します。


元はというと、ノーベル経済学賞を受賞された経済学者がIQ(認知能力)と区別するために個人の特性を非認知能力と呼んだことが発端とされています。さらに、非認知能力は人が生涯をかけて獲得する経済的な成果に与える影響が明らかにされたことで 、非認知能力というものが世界で注目を集めることになります。非認知能力が高い人は、そうでない人よりも生涯にわたって獲得する賃金が多いとの結果が得られたのです。


そうして、経済界から非認知能力の重要性が謳われはじめ、次第に教育の分野でも非認知能力を高めようとする動きが起こります。実は今の学習指導要領にも、非認知能力を高める重要性が書かれています。


さて、次第に注目を浴びてきている非認知能力なので、様々なことがわかってきました。

①非認知能力の獲得・向上は認知能力の獲得・向上にも影響を及ぼします。

つまり、非認知能力を獲得したり向上したりすると、認知能力まで向上することが分かりました。ちなみに、認知能力の向上は、非認知能力の獲得・向上につながるかはわからないみたいです。

②非認知能力は、認知能力よりも遅い時期でも獲得が可能です。

非認知能力を向上させるためには幼児期こそが肝!!という話もありますが、幼児期を過ぎても大丈夫です。むしろ、認知能力の方が幼い時期によく鍛えられ、非認知能力の方がより後年で鍛えられることがわかっています。どちらの能力とも、どの年代でも鍛えられるのですが、より変化が大きい時期があるようです。


しかし思い返してみると、非認知能力という言葉は知らなくても、そういった目には見えない数値では表せない能力が人にはあり、それはとても大切な能力であるということは感じていると思います。非認知能力である人と調和する力や粘り強さは、我々がこれまで大切だと思っていたコミュニケーション能力や問題解決能力と同じだし、その能力が大切だということは生きている中で大切だと感じている方が多いと思います。

なので、非認知能力というのは決して新しい概念ではなく、これまで「生きる力」や「社会的スキル」という言葉を使って表していたものと同じなのです。

そういった能力を獲得・向上することは、認知能力まで高くなり、さらに生涯にわたって獲得するお金にも影響するということが裏付けられたことがきっかけで、スポットライトが当たるようになったのでしょう。

非認知能力も、学力や獲得賃金などの認知できるモノサシで理解できるようになったわけですね。やはり認知できるものというのは実態があるので、分かりやすくて評価もしやすいですよね。


「じゃあ、その非認知能力はどうやって獲得・向上することができるねん!!」ということが重要になると思いますが、それはまた次回にします。笑


*補足

こういった角度からなんとかスクールを見てみることも必要なんじゃないかと思い、この記事を書くに至りました。

この記事に書いてある内容は、非認知能力を研究してきた学者さんたちの論文を参考にしたものです。というのも、大学生の卒業論文で非認知能力について書いたものを読み直して書きました。「教員が非認知能力を育む視点を持つ重要性 ~教員志望学生の実態調査より~」という卒業論文を書きました。論文としては全くのダメダメでした。笑

しかし、非認知能力について知りたい!という思いから書いた論文なので、非認知能力についてはいろいろ書いてあります。当時はまだ新しい言葉だったのか、非認知能力について調べようにも、英語の論文ばっかりでGoogle翻訳や電子辞書を使って意味を理解するのに苦労したのを覚えています。


上村



 


まるや(旧・進化型コミュニティーハウスかどや)

高槻市原にある築150年の古民家「まるや」。学び合って育ち合う文化を作っています。

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